新竹県出身の客家人である夫の一族。今回、お墓参りに行くことなったのですが、そのついでに私がずっと行きたかった北埔(ベイブゥ)にも立ち寄ってくれることになりました!
北埔は台湾茶好き、歴史好きの人には是非おすすめしたい場所。私も一度訪ねてみたかったのです。
北埔は台湾ドラマ『茶金』の舞台
私が北埔に興味をもったきっかけ…
それは2021年に台湾で大ヒットしたドラマ『茶金 ゴールドリーフ』でした。
舞台は1950年代の戦後混乱期の新竹北埔。台湾最大茶商の娘が家業と客家の茶産業を守るために奔走する姿を描いています。
実在した実業家・姜阿新をモデルにした本作は、台湾が日本統治から国民党による統治に移るなどの複雑な時代背景と多様な言語(客家語(海陸腔)、台湾語、中国語、日本語、英語)が飛び交う内容となっています。
ある程度、近代史を予習をしておくと、より一層楽しめる作品だと思います。
さらに注目したいのは、1950年代の台湾を忠実に再現したセットとそのレトロな衣装です。
「台湾ドラマ史上、最も美しいドラマ」と称されたこのドラマ。ひとたび映像の素晴らしさに触れれば、その言葉に偽りはないことがわかります。
「当初の計画では16話だったが、資金不足で12話に凝縮された」なんていう話もあるほど。
2022年には台湾のエミー賞と言われる金鐘獎で史上最多16部門にノミネートという快挙を成し遂げました。
ドラマ『茶金』の魅力は
奥深く語り尽くせないほど!
また後日、詳しく紹介しますね
北埔をのんびり散策
新竹県の北埔には客家文化が色濃く残っており、日帰りでぶらりと散策するだけでもその魅力を充分に楽しむことができます。
北埔老街
北埔の中心地でもある北埔老街へは台北から約1時間半〜ほどで行くことができます。
最近はドラマの影響もあってか週末は混んでいますが、平日ならゆったりとノスタルジックな街並みを満喫できます。
北埔慈天宮(第三級古蹟)
街の中心にありシンボルでもある北埔慈天宮は、1835年に北埔開拓者の姜秀鑾が大陸から持参した神様を祀る祠を作ったことが起源とされ、1846年には木造の廟が創建されました。
広東省から台湾に渡った客家人の姜秀鑾と、閩南人の周邦正によって開墾が始まった北埔。客家人と閩南人がともに信仰できるよう、両民族のルーツを融合して建てられたのが北埔慈天宮なのです。
一時期は学校として使われていた時代もありましたが、1971年に修復され現在の姿となりました。
現在は慈天宮の前に広がる廟前街、並行した南興街が北埔で一番賑やかな通りとなります。
姜阿新洋楼(新竹縣定古蹟)
いよいよ今回の旅の目的でもあった姜阿新洋楼に向かいます。『茶金』のロケ地としても使用されていて、ひと目見てみたいと思っていたのです。
茶商として財を成した姜阿新により建てられたこの洋式建築は1946年から3年の歳月をかけて竣工。
バロック式の住商合一の洋館で、自宅としてはもちろん、顧客である外国人をもてなす場としても使用されてきました。
当日は見学不可の日だったため残念ですが外観だけを動画撮影。ちょうど情緒ある音楽イベントが催されていました。
少ない見学日は予約もすぐ一杯
日程が合えば見学したいなあ
龍瑛宗文学館
2020年、日本統治時代の北埔公学校の教員宿舎が修復され龍瑛宗文学館として生まれ変わりました。
客家出身の小説家・龍瑛宗は、自身も1919年にこの北埔公学校に入学しており、当時の日本人教師の啓蒙によって文学の才能を開花させたそうです。
公学校とは、日本統治時代に
台湾の子供に向けて、日本語で
日本人教育を行った学校のこと
1937年には処女作『植有木瓜樹的小鎮(パパイヤのある街)』ですぐに頭角をあらわし、日本統治時代を代表する小説家の一人となりました。
館内には貴重な収蔵品と古い写真が展示されているとのことで、笑顔の素敵なスタッフの方に薦めていただいたのですが、時間の関係で叶わず…。再訪の際はゆっくり見学したいと思います。
三十九號北埔擂茶 創始店
北埔に来たら是非飲んでみたかったのが、こちらの擂茶(レイチャ)と呼ばれる伝統健康飲料。
数十種類の豆や穀物などをすり鉢で擂ってお湯やお茶を足していただきますが、古くは三国時代の張飛率いる大軍が疫病で弱ったときに名医が門外不出の処方として献上したものが始まりとされています。
薬膳と近しい理論の擂茶。本来はその人の症状や目的・季節によってレシピが変わるそうです。
以前スーパーで買ったインスタント擂茶を飲んだことがあるのですが、今回いただいたものは全くの別物!
本場の擂茶は、素材の滋味と甘味がダイレクトに伝わる超健康的エナジードリンクでした。
DIYの擂茶体験できる店も多いですが、自分ですり鉢で擂るのはかなり時間とチカラ(!)が必要。
時間のない時はドリンクスタイルがおすすめです。
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北埔の基本データ
北埔を含む新竹県には客家(はっか)と呼ばれる漢民族をルーツにもつ人々が多く居住しています。
客家人は清朝初期に中国大陸福建省から台湾に渡来し、現在では台湾全人口の10%強を占めています。その性格は勤勉で倹約家と評されています。
北埔で使われる【客家語】
北埔では一般的な國語(台湾華語)以外に客家語が使われています。
台湾には5種類の客家語(四県腔・海陸腔・大埔腔・饒平腔・詔安腔)が存在すると言われていますが、年々話せる人や理解できる人は減少傾向にあります。
夫の一族も客家出身です。お義父さんは客家語・台湾語・中国語・日本語を使いこなせますが、残念ながら子供たちには客家語は継承されていません。
北埔に根付く【客家文化】
赤レンガが積まれた伝統的な三合院スタイルの邸宅に、迷路のように曲がりくねった石畳の細い路地。客家文化の特徴はその街並みと言われています。
北埔で食べたい【客家グルメ】
北埔に行ったら必ず食べたい客家伝統の味はこちらをチェック!
- 擂茶…数十種類の穀物で作る食べるお茶
- 板條…客家料理。米粉で作った弾力ある平麺
- 東方美人…紅茶に近い上品な甘味の台湾茶
- 石柿…台湾の干し柿。北埔が主要産地
- 月光餅…さつま芋が原料のモチモチのお餅
- 発酵食品(各種)…伝統調味料や漬物が多数
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北埔へのアクセス
私の「北埔」日帰り旅は、高齢の義父も一緒だったので無理のないスケジュールで回りましたが、次回はもっとたっぷり時間をとって再訪したいと思います。
第一級古蹟の金廣福公館や姜家天水堂など、北埔にはまだまだ見どころがたくさん!
北埔老街
■所在地:新竹縣北埔郷北埔街 周辺
■アクセス:台北から1.5時間〜
【新竹ルート】おすすめ!
台北車站→高鐵新竹站
(台湾高速鉄道<台灣高鐵>)
高鐵新竹站→北埔老街
(観光路線バス<台湾好行>5700獅山線)
【竹北ルート】
台北車站→臺鐵竹北站
(台湾鉄路(在来線)<臺鐵>)
臺鐵竹北站→北埔老街
(観光路線バス<台湾好行>5700獅山線)
【竹東ルート】
台北車站→竹東駅
(台湾鉄路(在来線)<臺鐵>)
竹北駅→北埔老街
(路線バス<新竹客運>5609、5609A、5626、5626A、5627)
※予め時刻表を確認するとスムーズです。
※交通情報は変更されることがあります。
お出かけ前に最新情報をご確認ください。