ここ数年、ガイドブックで紹介されることが多くなった富錦街。この周辺一帯は「民生社區(ミンションシャーチー)」と呼ばれるコミュニティで、台湾人にも人気の住宅街です。
筆者の義実家はここ民生社區で30年以上暮らした地元住民。
本記事では愛され続ける街の魅力、地元だからこそ知る老舗グルメなどをまとめてご紹介します。
台湾人の憧れコミュニティ・民生社区
空港から徒歩10分 “台湾の代官山”
民生社区は台北松山空港の南側、道を一本隔てたところに広がるエリアです。
おしゃれなカフェやショップが並ぶ富錦街(フーチンジエ)は、空港から徒歩圏内。
そのためか、帰国日ギリギリまで散策を楽しむ観光客も見かけるようになりました。
60年代より開発された米国式モデル地区
もともと民生社区は肥沃な農地でしたが、空軍基地(現:台北松山空港)が近かったことから戦時中に捕虜収容所が建設されるなど、哀史が残る土地でもありました。
しかし1960年代に入り、台北市政府主導のもとアメリカ式コミュニティをモデルとした都市開発が計画され、街は一新します。
地域の約1割を占める美しい緑地、4階建ての低層住宅、充実した公共施設など、QOL(Quality Of Life)が高く洗練された街並みは、たちまち台湾人の羨望の的となりました。
リノベーション住宅が並ぶエリアの特徴
今や著名人やクリエイターが集まる高級住宅街となった民生社区ですが、古くからの住民が集う親しみやすいエリアも存在します。
■東エリア…市場や老舗店など地元民で賑わう
■中央エリア…観光客に人気のカフェストリート
■西エリア…“裏・富錦街”。隠れ家的な店が点在
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地元っ子が通う老舗グルメ5選
①小上海
地元で50年愛され続けているローカルな老舗「小上海」(地図①)。
ガイドブックにも掲載されているため観光客にも人気があり、最近ではテレビ番組のロケにも登場するようになりました。
台北松山空港から徒歩10分程度とアクセスも良いので、到着や出発後に小腹を満たすのにもピッタリです。
看板メニューは小籠湯包など点心類のほか、牛肉麵や排骨麵といった麺類、湖州肉粽(ちまき)などが人気。
さらに小菜(シャオツァイ)と呼ばれる小皿に盛られた副菜を2〜3皿セルフで選ぶのが台湾流です。
注文は用紙に記入するスタイルなのでオーダーも簡単。日本語のメニューも用意されています。
温かいお茶、食器類、お茶、小籠包用の生姜などはセルフサービスとなります。テーブルにセットして熱々の料理が運ばれてくるのを待ちましょう。
②王記府城肉粽 三民店
台湾南部の味を守り続けて30年の名店「王記府城肉粽」(地図②)。
台南出身のオーナーが台北市内で3店舗営業しており、そのうちの1つがこちらの三民店になります。
メニューは6種類と非常にシンプル。
台湾ではちまきを端午節に食べる習慣がありますが、伝統料理でありながらこちらでは通年味わうことができます。
・肉粽(豚肉入りちまき)
・菜粽(ピーナッツ入りちまき/塩味系)
・豆沙粽(あずき餡ちまき/デザート系)
・碗粿(ライスプリン)
・大腸麵線(モツ入りそうめん)
・蘿蔔魚丸湯(つみれと大根のスープ)
いずれも台湾ではよく知られたメニューばかりなのでハズレがありません。
南部特有の笹の葉が香る肉粽(ちまき)は、豚肉以外にも、椎茸、玉子、干し海老、栗、ピーナッツなど具沢山で食べ応えがあります。
さらに特製ソースやピーナッツ粉でカスタマイズするのもおすすめです。
③蕭家牛雜湯
地域住民に長年のファンも多い、40年近くの老舗「蕭家牛雜湯」(地図③)。
お店はコンパクトでいつも混み合っていますが、観光客はまず見かけません。
こちらの店もメニュー数がシンプルで、味に自信があることが伺えます。
・牛雜湯
・牛肉炒
・牛肉炒麵(or米粉)
・豬肉絲麵(or米粉)
・大腸麵線
来店する人が必ず注文するのは店名にもなっている牛雜湯。
新鮮な牛モツ(すね肉、胃袋、ハツモト、サーロイン)をあっさりとした漢方スープで煮込んだもの。トッピングされた九層塔(台湾バジル)が爽やかなアクセントになっています。
具である牛モツはそのまま食べても美味しいですが、別添のおろし生姜入りピリ辛ソースにつけて味変するのがツウ。
来客の多くが、この名物スープにお好みの麺料理をプラスして食事をしています。
一度食べたら病みつきになる…不思議だけど優しい味のお店です。
④永和豆漿 民生店
台湾全土でよく見かける、新北市永和區発祥の「永和豆漿」(地図④)。
その店舗の多さからチェーン店と思われがちですが、そのほとんどは独立したお店です(店名に「大王」や「世界」がついた店とも無関係)。
イメージとしては朝ごはんや夜食が食べられる「豆漿店の通称」といった感。
そのため同じ店名でも味に差があり、皆それぞれにお気に入りの「永和豆漿」があるようです。
嬉しいことに民生社區には昔から評判の良い「永和豆漿」があります。
店内で食べることもできますが、朝のラッシュ時はテイクアウトの列の方が長く、台湾の朝食文化が垣間見られます。
台湾ならではの朝ごはんの定番はこちら。
<上写真/左下より時計回りに>
・溫豆漿…温かく甘い豆乳。冷たいのも有
・燒餅油條…揚げパンのパイ生地包み
・薄川蛋餅…玉子とネギのクレープ包み
・韮菜水煎包…蒸し焼きニラまんじゅう
各テーブルに注文用紙があるのでオーダーも簡単。食後に会計を済ませます。
⑤三民路口麵線(休業)
民生社区の住人で知らない人はいない「三民路口麵線」(地図⑤)。
香り豊かな鰹だしに粒よりの牡蠣、イカつみれ、牛モツといった具沢山な麺線に、香菜とニンニクを添えていただきます。
ただ残念なことに、店主より2019年に一旦休業するとの宣言があり、現在は別のオーナーによる営業となっています。
台北市内のどこよりも美味しいこの麺線。今も再開されることを多くの地域住民が待ち望んでいます。
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