世界のグルメ指南書として知られる『ミシュランガイド』は2018年より台北版を発表していますが、じつは高級店だけの掲載ではありません。
星での格付け以外にも「ビブグルマン」というカテゴリを設け、台湾ならではの味をリーズナブルに楽しめる店を数多く認定しています。
毎年8月下旬は『ミシュランガイド台北』の発表シーズン。
【2023.08.23追記】
ミシュランガイド台湾
2023年度版が発表されました!
2023年度ビブグルマン台湾版
【台湾…139店】
台北45店、台中31店、台南36店,高雄27店
【台北…45店】
新規掲載店
◆季風(素食レストラン)
◆HUGH dessert dining(仏デザート)
◆小酌之家(海鮮台湾料理)
これを機に台湾旅行で重宝する「ビブグルマン」のおさらいとして、2022年度版で選ばれた今行きたい注目の認定レストラン3店をご紹介します。
「ビブグルマン」の基礎知識
ミシュラン認定の「ビブグルマン」とは
『ミシュランガイド』の「ビブグルマン」とは、星の数による格付けとは別に1997年に設けられた評価カテゴリ。
台湾の場合、1,000元(約4,500円)以内で上質な料理3品を食べることが出来る店が条件です。
2018年3月に初めて発表された『ミシュランガイド台北』ですが、2021年より書籍での発行は終了。現在はすべて電子版へと転換されましたが、これを受け記念に書籍版をコレクションする方もいます。
ランキングのマークについて
現在、台北でビブグルマンとして認定された店は57店舗(※2023年度は45店舗となりました<2023.08.23追記>)。
電子版では格付けだけでなく、ジャンル・サービス・価格帯などでも絞りこむことが可能です。
日本版は英語表記で見づらいため、台湾版(上記ボタン)での漢字検索がおすすめ。
星以外の主なマークは以下の通りです。
- 【ミシュランマン】のキャラクターマーク
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ムッシュ・ビバンダムことミシュランマンが舌をペロリと出したマークが「ビブグルマン」に選ばれた証。コストパフォーマンスの高いレストラン、屋台グルメが中心。
- マーク無し(旧ミシュランプレート)
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一定の基準を満たした候補店ではあるが、評価外のためマークは無い。以前は「ミシュランプレート」というカテゴリだった。
時折マーク無しでも「ミシュランに選ばれました」と掲げている店を見かける。 - クローバーのマーク
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「ミシュラングリーンスター」と呼ばれるカテゴリで2021年度版から発表している。地球環境の保全などサステナブルな活動を積極的に行なっているレストランを認定。(ミシュラン、ビブグルマンいずれも対象)
- $のマーク
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平均予想金額を示す。台湾版の場合、
「$(1つ)」……屋台が中心
「$$(2つ)」……レストランが中心
①「My 灶」の滷肉飯
店名「My 灶(マイ ザオ)」の“灶(ザオ)”は、かまど・キッチンの意。そして「(人を)引き止める」意味の“賣走(マイゾウ)”の発音にもかけています。
インテリアは1950年代の台湾の街角がテーマ。その時代に実際に使用されていたという街灯がノスタルジックな雰囲気を盛り上げてくれます。
「My 灶」を一躍有名にさせた「滷肉飯(ルーロー飯)」は、一般的な価格に比べて倍ほどの贅沢なものですが、伝統的なレシピに忠実に3日間かけて作り上げたその味は、記憶に残る一品。
その他にも、鮮蚵烘蛋(牡蠣のオムレツ)、薑蔥爆透抽(イカと韮葱の炒め物)など、レパートリー豊かなメニューが揃っているので、何度通っても新しい発見があります。
こちらは非常に人気店なので事前予約することをおすすめします。
また、白切雞(鶏肉の冷菜)は前日までの予約が必要なので、席の予約時に一緒に注文してしまいましょう。
②「北平陶然亭餐廳」の北平烤鴨
半世紀以上もの間、地元に愛され続けてきた北京ダックの名店「北平陶然亭餐廳(ベイピン タオランティン ツァンティン)」。
自然豊かな宜蘭で育てられた肉質の柔らかい鴨等を使った伝統的な北京料理で知られています。
店の名物である北京ダックは事前予約が必須。
皮はもちろん、身そして骨までも余すことなく、丸々一羽を「八吃(8通りの食べ方)」で楽しむことが可能です。
※基本の一吃から三吃までを注文した場合のみ、四吃以降の好きな料理をオーダーできます。
- 鴨皮鴨肉包餅(北京ダック)
- 鴨肉絲炒銀芽(鴨肉と野菜の炒め物)
- 酸菜鴨骨燉湯(酸菜と鴨骨のスープ)
------------------------------------------------ - 醬爆鴨骨(鴨骨の甘辛ソース揚げ)
- 椒鹽鴨骨(鴨骨のスパイシー揚げ)
- 溜黄菜(鴨油と卵のスープ仕立て)
- 乾扁鴨肉絲(細切り鴨肉の炒め物)
- 生菜鴨鬆(鴨挽肉のレタス巻き)
基本の3品だけでもかなりのボリュームですが、食べきれなかった場合はテイクアウトもできます。
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③「雙月食品社」の愛恨椒芝麵
順番待ちの人やデリバリースタッフの往来で常に賑わっている「雙月食品社(シュアンユエ シーピンシャア)」。
2024年3月現在、全店舗とも席の予約サービスは行っておりません(LINE公式アカウントより)。
まずは番号札を受け取り、順番待ちの間に注文内容をシートに記入します。スタッフに席を案内されたらレジで会計を済ませ、テーブルで料理が来るのを待ちましょう。
もちもちと歯ごたえのある麺料理愛恨椒芝麵は、濃厚な胡麻ダレに花椒をピリリと効かせた特製ソースが人気の一品。近年、袋麺でも販売するようになり、我が家の定番となっています。
また、豪快な盛り付けが目をひく看板メニューの蛤蜊燉雞腿湯は、蛤と鶏肉が惜しみなく使われたスープで、滋味あふれるお出汁をたっぷりと味わうことができます。
「雙月食品社」は台北市に7店舗、新北市に1店舗(下記MAP参照)。近くにお越しの際はぜひ訪ねてみてください。
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ガイド本だけに頼らないグルメのヒント
本来、好みの味というものは出身地や苦手な物などによって千差万別。
初めての土地ではガイドブックなどの情報は参考にこそなりますが、掲載店が必ずしも口に合うとは限りません。
好きな味を自分軸で選び抜き、少しずつお気に入りを増やしていくのも旅の醍醐味。あなたのグルメ探しに繋がるヒントをいくつかご紹介します。
日本人観光客ばかりの店を避ける
日本人観光客に人気になったことで、メニューの改悪や相場以上の値上げに走る店を今までいくつも見てきました。そういった店の多くは、肝心の台湾人から愛想を尽かされているケースもしばしば。
他国の観光客は少ないのに、なぜか日本人観光客だけが増えてきたらその兆候かもしれません。冷静に視野を広げれば、もっと美味しく良心的なローカル店に出会えるはずです。
台湾人ばかりの店は勇気がいりますが、事前にメニューを調べ、メモなどに書いて見せれば、中国語がわからなくても意外と簡単に注文できます。
現地のグルメ情報を参考にしてみる
- グルメAPP『愛食記 iFoodie』
-
台湾の「食べログ」的な存在として多くの台湾人から支持されているグルメアプリ。ユーザビリティも高く、現在位置での検索はもちろん、多彩な料理ジャンルから選べて非常に便利です。
- Google マップのクチコミ欄
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主に中国語のクチコミが地元目線の意見として参考になります(投稿内容は日本語に自動翻訳されている)。並べ替えツールを使い「評価の低い順」で問題点を、「新しい順」で近況をキャッチアップできます。
世代交代した老舗店は慎重にジャッジ
何十年もの歴史がある老舗店はそれだけで信頼に値するものですが、オーナーが2代目、3代目と受け継がれていく中で味や品質が変わった…などはよく聞く話。
その老舗店はあなたのお気に入りリストに残せる店か、注意深く自分の舌で確かめていきましょう。