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台湾茶を学ぶ【大稲埕歴史観光】茶舗のバックヤードツアー3選

名匠・郭三川によるペディメントが目を惹く新芳春茶行の外観
名匠・郭三川によるペディメントが目を惹く新芳春茶行の外観

観光地として人気の迪化街を中心とした大稲埕(ダーダオチェン)地区は私も大好きな場所。

歴史的価値の高い街並みは、何度訪れても新たな発見と学びがあります。

今回は観光客で賑わうスポットではなく、しっとりと静かに貴重な茶商史料工場見学などバックヤードツアーを体験できる茶舗を3つ厳選してご紹介したいと思います。

目次

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大稲埕エリアの歴史

の発展は19世紀中期に誕生した漢人居住区の近くに淡水港が開港したことから始まります。

イギリスの商人ジョン・ドッドによって台湾の気候と風土に適していた茶葉生産が開始されると、その美味しさから台湾茶は瞬く間に「Oriental Beauty(東方美人)」の名で海外に広く知られるようになりました。

1937(日治時期)台北街景 城內與大稻埕風光
出典:張哲生

その後も台湾茶貿易は隆盛を極め、莫大な経済効果をもたらします。全盛期には200以上の茶葉問屋が街中にひしめき合っていたそうです。

埕地区の特徴といえば、赤レンガの洋樓式建築亭仔脚(台湾式アーケード)を備えた街屋建築の街並みではないでしょうか。

この商業街にとって実用的なスタイルは、日本統治時代の法律でも定められていました。

迪化街十連棟(出典:臺北市政府觀光傳播局

当時は北門西門町周辺に日本人が多く住むようになりましたが、台湾人が多く居住する地区だったため、独自の文化や伝統が守られる結果となりました。

そのため大稲埕は富裕層だけでなく知識人も多く集まるエリアと成長し、台湾文化の活動拠点としても繁栄していきます。

①新芳春茶行(直轄市定古蹟)

で成功を治めた茶商のひとつ「新芳春茶行(シンファンチュン チャーハン)」は、現在茶葉の生産はしていませんが、最盛期の貴重な工場跡史料の保存と公開に努めています。

店舗・工場・倉庫・住宅など、異なる機能を兼ね備えた住商混合建築は見どころも多く、とくに3階の居住フロアを見学できるのはガイドツアーだけです。

ミネルバ

日本人観光客はほぼゼロですが
台湾茶文化が好きな方は必見!

1階:エントランスホール

三階建て500坪の住商混合建築である邸宅は、一歩入るとすぐ手前に西洋式のホールが広がり、展示スペースへのアプローチに繋がっています。

西洋建築に台湾の様式を融合させた「新芳春茶行」のホール
西洋建築に台湾の様式を融合させた「新芳春茶行」のホール

前身は福建省から渡ってきた初代当主の王芳群と共同経営者の王珍春が興した「芳春茶行」ですが、しばらくの後、経営パートナーシップが解消されてしまいます。

1932年、二代目となる王連河が新たに「新芳春茶行」を設立し、隆盛期となる1934年にこちらの豪華な洋館を建設しました。

しかし1980年代頃より徐々に茶葉の輸出量は減少し、2004年には閉業を迎えます。

「新芳春茶行」三代目当主・王國忠と周明玉の結婚式
「新芳春茶行」三代目当主・王國忠と周明玉の結婚式
茶葉の売買は花碼と呼ばれる速記用数字で記録された
茶葉の売買は花碼と呼ばれる速記用数字で記録された

放置状態の邸宅でしたが、2009年に台北市によって正式に古蹟と指定され修復が始まりました。

約5年の月日をかけて蘇った邸宅は、埕の茶業発展の歴史の重要な史料として保存・一般公開されることとなりました。

街屋建築の特徴でもある細長い邸宅は、至る所で1934年当時の技術の粋を確認できます。

採光と通風を考慮した吹き抜け設計は街屋建築ならでは
採光と通風を考慮した吹き抜け設計は街屋建築ならでは
刻印<T.R>は日治時代の最高品質を誇る「臺灣煉瓦」製の証
刻印<T.R>は日治時代の最高品質を誇る「臺灣煉瓦」製の証

1階:展示スペース

エントランスホールを進むと1階の展示スペースになります。

ここでは茶葉の輸出に実際に使用されてきた刻印道具や、等級別パッケージなどが展示されています。

輸出木箱の刻印に使われたステンシル金属板の数々
輸出木箱の刻印に使われたステンシル金属板の数々

こういった貴重な文化財から、かつて台湾から欧米には東方美人茶(重発酵)が、東南アジアには包種茶(軽発酵)が主に輸出され、世界中へと広がっていったことが分かります。

木箱に刻印された<SHC>は新芳春のイニシャル
木箱に刻印された<SHC>は新芳春のイニシャル
欧州向け高級茶に使用されたオリエンタルな装飾箱
欧州向け高級茶に使用されたオリエンタルな装飾箱

茶葉は4つの等級に分けられ輸出されました。

等級は「四君子」と呼ばれる中華圏で愛されてきた花々<梅・蘭・竹・菊>で表現されており、梅が最高ランクの茶葉となります。

最高級を指す梅ランク「梅雀」の半斤(600g)茶缶
最高級を指す梅ランク「梅雀」の半斤(600g)茶缶

海外への輸出用木箱・茶缶・包装などのデザインは東洋の優美さを意識させるものが多いようです。

ヨーロッパの人々は台湾茶を飲みながら、遠い異国の地に思いを馳せていたことでしょう。

単なる運輸刻印とは思えない美しい150g用パッケージ
単なる運輸刻印とは思えない美しい150g用パッケージ
等級のステンシルを体験できるスペースも
等級のステンシルを体験できるスペースも

1階:製茶工場棟

かつて井戸のあった中庭を抜けると製茶工場の棟に移動できます。

当時の機具がそのままに並び、手作業による工程が順を追ってわかるように展示されています。

撿梗間

初めに撿梗間と呼ばれる茶葉と茎を切り離す作業を行う部屋に向かいます。

ここでは「切茶機」で茶葉と茎を切り分け、「撿梗機」で揺り動かしながら茶葉部分だけを集めていました。

茶葉と茎を切り離す「切茶機」
茶葉と茎を切り離す「切茶機」
茶葉と茎を篩い分離させるための「撿梗機」
茶葉と茎を篩い分離させるための「撿梗機」

風選間

次の風選間茶葉を等級別に選り分ける部屋で、台湾に現存する数少ない「風選機」などが展示されています。

こちらの機械は風の力を利用して茶葉を重量別に選別し、比重(密度)の高い茶葉とそうでない品質の劣る茶葉とを分けることができるというもの。

当時としては非常に画期的なアイデアで、まさに先人の知恵から生まれたシステムといえます。

風の力と茶葉の重さを利用して品質を選別できる「風選機」
風の力と茶葉の重さを利用して品質を選別できる「風選機」

焙籠間

最後に炭火による焙煎工程を行う焙籠間では、竹で編まれた多く籠「焙籠」が並んでいます。

焙籠窟と呼ばれる一列に並んだ穴に炭火を起こし、その上に焙籠を乗せて茶葉を焙煎していました。

焙煎の程度によって、軽焙煎・中焙煎・重焙煎風味の異なる3種類のお茶を作り出すことができます。

竹で編まれた昔ながらの焙籠が並ぶ焙煎室
竹で編まれた昔ながらの焙籠が並ぶ焙煎室

2階:イベントスペース

ホール横のクラシックな階段で2階に登ると、イベントスペースが広がります。ここでは様々な企画展が入れ替わりで開催されています。

ミネルバ

当時、この2階は女工さんが
製茶作業をする場所でした

私が訪れた時は、当主であった王氏と家族の愛用品を紹介する「王家生活展」、日本統治時代の大稲埕の様子を撮影した写真家の李火增(1912〜1975)の写真展「日日大稻埕」が行われていました。

日治時代の生活が生き生きと収められた李火增の作品展
日治時代の生活が生き生きと収められた李火增の作品展
凛とした女性や精巧な細工の屋台に立つ店主の洋装がエレガント
凛とした女性や精巧な細工の屋台に立つ店主の洋装がエレガント

2階:喫茶スペース

2階には台湾茶を愉しめるスペースも併設されています。数ヶ月毎にショップが入れ替わり、それぞれのスタイルで台湾茶の魅力を発信しています。

私がお邪魔した日は「米波茶社」というお店が入っていました。様々な台湾茶の試飲ができる他、ワークショップなども開かれているようです。

10数種の台湾茶葉を取り揃えた「米波茶社」
10数種の台湾茶葉を取り揃えた「米波茶社」

レトロな世界観が広がる店内は、アンティーク家具や雑貨が目を惹きます。

こちらでは当時のポスターでデザインされた復刻版パッケージの台湾茶が販売されていました。

台湾茶の代表的な品種が購入できる
台湾茶の代表的な品種が購入できる

エレガントな窓枠の近くにはテーブル席が用意されており、の街の様子を見ながらお茶を愉しむことができます。

また店舗の手前では茶器が販売されていました。美しいデザインで価格帯も幅広く、見ているだけでも感性が磨かれそうです。

店内のインテリアや調度品一つひとつに時代を感じる
店内のインテリアや調度品一つひとつに時代を感じる
美しいデザインの茶器コレクションが並ぶ
美しいデザインの茶器コレクションが並ぶ

3階:住商混合フロア

ガイドさんの誘導でエレベーターに乗ると、一般客は立ち入り禁止の3階へ案内されました。

ミネルバ

ここから3階は非公開エリア
ガイドツアーのみ見学可です

前述の通り、新芳春茶行住商混合建築の洋館です。中でもこの3階は王一族にとって最もプライベートな空間だったと言えるでしょう。

顧客を招いて商談を行っていた瀟洒な応接室
顧客を招いて商談を行っていた瀟洒な応接室

3階は居住スペースだけでなく、取引先などが出入りする商談スペースも併設されています。

そのため商売の邪魔にならないよう、家族専用の細い通路や階段が設けられていました。

3階の片隅には家族専用の階段と通路が
3階の片隅には家族専用の階段と通路が
かつてベッドルームとして使用されていた部屋
かつてベッドルームとして使用されていた部屋

私が心を打たれたのは、扉に使用されていたアンティークガラスについてです。

他の扉と模様が異なるガラスがあったのですが、ガイドさんより「こちらのガラスが壊れたらもう最後です。新たに作ることはできないので大切にしています。」と教えていただきました。

現在では再現できない精巧でモダンな柄のガラス
現在では再現できない精巧でモダンな柄のガラス
扉の左右「芳樹・春蘤」の對聯が目を惹く
扉の左右「芳樹・春蘤」の對聯が目を惹く

同フロアには先祖を祀る祭壇もあるとのことでしたが、当日は実際に一族の行事があったため見学ができませんでした。

タイミングが合うようでしたら、是非ゆっくりと見学してみてください。

\ また次の記事でお会いしましょう 多謝! /
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