私は台湾の老街巡りが好きなのですが、その中でもよく訪れるのが台北市内からバスで20分ほどで行ける豆腐の街と呼ばれる深坑老街(シェンクン ラオジエ)。
食べることが大好きな台湾人の夫もお気に入りの街です。
老街の入口では、樹齢100年を超える茄冬(アカギ)と樟樹(クスノキ)の2本のシンボルツリーが出迎えてくれます。
深坑老街の豆知識
深坑老街の歴史
深坑の地名の由来は、四方を山に囲まれたその地形から深坑(深いくぼみ)と名付けれたことに始まります。
台北と宜蘭の間にある交易地として栄えた深坑老街は、鉄分を含まないその恵まれた水質から豆腐造りが盛んとなり「豆腐の街」として知られるようになりました。
深坑では名産の白豆腐のほか、緑筍・黒豚肉・包種茶の4つを合わせて「深坑四宝」と呼び、街おこしにも活用されています。
深坑老街の歩き方
深坑老街は全長300mほどのコンパクトな街なので、のんびりと散策するには程良い距離です。
老街の通りでは門牌(住居番号)がクラシックなデザインで統一されているので、ぜひ注目してみてください。
台湾の住所のルールは非常に簡単。
小さい番号からみて偶数が右側、奇数が左側です。下記でご紹介する店舗の住所も、この門牌をたどれば分かり易いかと思います。
深坑老街の豆腐グルメ6選
豆腐グルメは臭豆腐だけではありません。
本記事では、台湾人からも評価の高いバリエーション豊かな豆腐グルメを、老街の入口に近い店舗から順にご紹介していきます。
「金大鼎」or「大樹下」の串焼き臭豆腐
老街入口の左右には串焼き臭豆腐の人気の2店舗が構えています。
左手の「金大鼎」は、臭豆腐ではなく香豆腐ということで、ふっくらジューシーな串焼き豆腐に、泡菜(台湾風浅漬け)、香菜(パクチー)、花生粉(ピーナッツ粉)をたっぷりのせているので、臭豆腐が苦手な日本人でも美味しく食べられる一品です。
右手の「大樹下」の串焼き臭豆腐は、みっしりと密度のある豆腐を使用。トッピングは泡菜、香菜など6種類から2種類を選択します。大豆の風味が濃く台湾人から支持の高いお店です。
「古早厝」の金牌豆腐捲
1分ほど歩くと左手に豆腐料理の名店「古早厝」があります。地元の人に長く愛されてきた閩南式建築が目を惹くクラシックなレストランです。
看板メニューは清蒸臭豆腐や麻辣臭豆腐といった本場の臭豆腐ですが、臭豆腐以外の料理にも定評があります。
豆腐・海老・いか・椎茸を混ぜた餡を豆皮で包みサクっと揚げた金牌豆腐捲は、ネット投票で1位に輝いた臭豆腐に次ぐ人気メニューです。
「廟邊酥炸臭豆腐」の揚げ臭豆腐
レストランではなく食べ歩きを楽しみたい方におすすめなのが、深坑老街のランドマーク集順廟の横に構える屋台「廟邊酥炸臭豆腐」の炸臭豆腐(揚げ臭豆腐)です。
外はカリッと香ばしく、中はフワッとしたその美味しさに、臭豆腐が苦手だったはずの私でも箸が止まりませんでした。
臭豆腐の匂いもほとんど無く、添えられた甘酸っぱい泡菜も箸休めとして良いアクセントになっています。
「寶桂的店」の豆腐麻糬皮
集順廟の正面「寶桂的店」は豆腐スイーツのお店。豆腐を使ったプリンやケーキなどが揃います。
私がリピート買いする豆腐麻糬皮は、新鮮な豆乳で作った弾力あるお餅。その食感はミルクプリンといった感じで、トッピングは芝麻(ごま)、花生(ピーナッツ)の2種類から選べます。
本来の看板商品である「豆腐麻糬(豆腐もち)」は、あずき・ピーナッツ・ごまあんの3種類で販売しており、賞味期限が6か月間あるのでお土産に最適です。
台湾の麻糬(マーシュー)は日本の餅菓子より柔らかく、製法も異なるため時間が経ってもモチモチとした食感が変わることはありません。
「大拇哥」の豆干
台湾人に「なぜ日本人は豆腐好きなのに豆干が普及しないのか」とよく聞かれることがあります。
豆干とは水分の少ない豆腐に圧力をかけ、さらに固くしたもので、台湾人に人気のヘルシー食材です。料理に使われるほか、ちょっとしたオヤツとしても販売されています。
深坑老街の中央付近にある「大拇哥」の豆干は、味付けされた豆腐のオヤツ。我が家では定番の沙茶(沙茶ソース味)のほか、辣味(ピリ辛味)が夫のお気に入りです。
「大谷豆花店」の包心豆漿豆花
豆腐グルメの〆は、深坑老街の出口付近を左折したところにある「大谷豆花店」でどうぞ。
人気メニューの包心豆漿豆花は豆乳の中に豆花を浮かべ、その上に包心(あずき入りの大きなタピオカ)を乗せたスイーツです。
豆花の良さは、夏はアイス、冬はホットと一年中楽しめるところ。まさに豆腐の街の食べ歩きにふさわしいデザートではないでしょうか。
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深坑老街のレトロ建築
豆腐グルメを堪能したら、深坑老街の歴史的建造物を見学しながらバス停のある入口までUターンしましょう。
老朽化のため、新北市主導の10億円以上をかけた3年間に及ぶ修復を2012年に完工した深坑老街。
至るところで日本統治時代の面影が残されているほか、日本の昭和と雰囲気が重なる駄菓子屋さんなどもあり、ノスタルジックな時間を過ごすことができます。
《徳興居》の可愛いマジョリカタイル
前述の豆干専門店「大拇哥」の並びに、美しい佇まいで一際目を惹く建築・徳興居があります。
徳興居は1926年に建てられたバロック様式の赤煉瓦建築で、日本統治時代に九份の金鉱で財を成した黄徳隆によって建てられました。
色鮮やかな花磚(マジョリカタイル)と繊細な屋根装飾が特徴的で、深坑老街で最も豪華な街屋洋樓として知られています。
《六號道路》の伝統的な樓井
集順廟のほど近くにある六號道路は、観光客の多くが見逃してしまう場所。
中央の樓井(階上を囲う半階の部分)を挟んで左右に店舗を有するアンティーク建築の向こうには景美渓の美しい風景が広がっています。
近年、道路用地となる計画がありましたが、2008年の深坑老街修復プロジェクトの一環として、その姿を残すことになりました。
《集順廟》の青が冴える八仙彩牆
深坑老街のランドマーク集順廟は、中国のお茶の産地として有名な福建省安溪からの移民によって平安祈願のために1838年に創建されました。
廟前の壁画「八仙彩牆」はとりわけ青色が冴える華やかな作品で、地元の人々に愛されてきました。
入口には屋台が並び、往来する参拝者や観光客でいつも賑わっています。
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深坑老街へのアクセス
台北近郊の老街の中で最も近い【深坑老街】は、半日ほどの滞在でもゆっくりと楽しむことができます。
バス停から老街入口までは、わずか50m程度。シンボルツリーがすぐに見えてくるので、初めて訪れる方でも安心です。
台北から近い深坑老街は、その気軽さから会社帰りに遊びに行く人もいるほど。
ぜひ次の休日は、ヘルシーな豆腐グルメを存分に満喫してください。