観光客でいつも賑わっている淡水。
訪れた人の多くは淡水老街で屋台グルメの食べ歩きを楽しみ、淡水河の夕日を見て帰る…これが定番コースではないでしょうか。
淡水は豊かな自然と深い歴史に恵まれた地区。今回は喧騒を離れてゆっくりと休日を過ごせるとっておきのモデルコースをご紹介します。
淡水歴史地区 観光マップ
ご提案するモデルコースは定番エリアから少し離れた山の手地区を中心にまとめていますので、私のように人混みが苦手な方にもおすすめです。
また、意外と日本の友人知人からリクエストが多い「フェリーに乗ってみたい」という要望もコースに入れてみました。
紹介する各スポット間はそれぞれ5〜10分ほど。のんびりと散策するにはちょうど良い距離感になっています。
午前:【八里】から休日をスタート
①八里左岸公園
淡水に行ったことがある方は、淡水河の対岸が気になったことはありませんか。そこが今回の小旅行のスタート地「八里(バーリー)」です。
八里は賑やかな淡水とは対照的にとても穏やかな街。ガジュマルや南国らしい花々が美しい八里左岸公園での散歩は日頃の疲れをリフレッシュしてくれます。
週末は自転車をレンタルして約4kmのサイクリングコースを楽しむ台湾人観光客が多くみられます。
八里へのアクセス方法はいくつかありますが、下記ルートが一番シンプルかと思います。
②フェリー乗船(八里〜淡水)
公園の河沿いの遊歩道を東方面に10分程歩くと、フェリー乗船場の八里渡船頭が見えてきます。
周囲には飲食店やレンタサイクル店が並び、フェリー待ちの人が思い思いに過ごしています。
乗船方法は、售票處(チケット売り場)で乗船券を現金購入するか、フェリーの乗船手前で悠遊卡(台湾の交通系ICカード)を使ってタッチ決済を行うか、いずれかとなります。
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午後:【淡水】歴史建築群を歩く
八里からフェリーに乗船し、淡水に到着したらさっそく観光に向かいましょう。
淡水を語る上で、カナダ人宣教師ジョージ‧L‧マッケイ(馬偕博士)の存在を欠かすことはできません。
淡水を拠点として、台湾での布教・医療・教育・女性の社会的地位向上など、数々の功績を残してきたマッケイ博士。台湾人女性の張聡明を伴侶とし、その人生を台湾に捧げてきました。
淡水には彼に関わる建築物が多く残り、また名前を冠した馬偕街(マッケイ通り)も存在します。
③淡水礼拝堂(第三級古蹟)
まずはフェリー発着場の淡水渡船頭から徒歩5分のところに建つ淡水礼拝堂(淡水基督長老教會)に向かいます。
赤煉瓦とステンドグラスが美しいこちらの教会は、マッケイ博士によって台湾北部で初めて開設された教会。
2度の改修を経て、1933年に息子のジョージ・W・マッケイ牧師によって現在のゴシック様式の礼拝堂が完成しました。
クリスマス時期を迎えると、さらにロマンティックな雰囲気に包まれます。
④「老牌阿給 創始店」の阿給と魚丸湯
本格的な観光の前に淡水名物「阿給(アーゲイ)」で軽い昼食をとりましょう。
阿給(アーゲイ)は油揚げの中に冬粉(春雨)を詰め、魚のすり身でとじて蒸したもの。甘辛ソースが食欲をそそります。名前は日本語の“お揚げ”に由来します。
観光客は淡水河沿いの屋台で食べることが多いですが、地元の人が通うのは「真理街」です。ここには阿給の有名店が3店並んでいますが、それぞれに古くからのファンがいます。
中でもこの「老牌阿給 創始店」は淡水で一番の老舗。もう一つの名物「魚丸湯(ユーワンタン)」という魚のすり身の団子スープと一緒にどうぞ。
⑤小白宮(第三級古蹟)
小白宮は正式名称を「前清淡水關稅務司官邸」と言い、清代に開港した淡水で海外貿易の徴税を担う外国人用住居として1870年に建てられました。
スペイン風コロニアル様式の優美な回廊が特徴で、その白亜の姿から小白宮と呼ばれています。
1996年には取り壊しの危機に見舞われましたが、専門家たちの尽力により古蹟として保存されることとなりました。
現在はウエディングフォトの撮影地としても非常に人気が高いです。
⑥私立淡江高級中學
“高級中學”とは中国語で高校のこと。
淡江高級中学は、前述のマッケイ博士が1914年に設立した「淡水中學校」を前身とする100年以上の歴史を持つ神学校です。
とくに音楽や美術の専攻クラスが有名で、李登輝元総統や人気アーティストの周杰倫(ジェイ・チョウ)の母校としても知られています。
学校のシンボルは1925年竣工の八角塔。中国様式と西洋ビザンチン様式を融合させた設計となっており、正面の赤煉瓦と白壁のストライプのコントラストが目を惹きます。
また、周杰倫(ジェイ・チョウ)の主演映画『不能説的秘密(言えない秘密)』のロケ地としても話題になりました。
映画は2007年の作品ですが、現在でも多くのファンが各国から聖地巡礼に訪れるそうです。
⑦紅毛城と清朝英国領事館(第一級古蹟)
300年以上の歴史をもつ「紅毛城」は台湾最古の建築。軍事防衛のため2メートル近い厚さの壁をもち、地下牢も備えられた要塞です。
“紅毛”とは建物の色ではなく、オランダ人の髪が赤いことから呼ばれるようになった名称。
敷地内にはオランダ・スペイン、清朝、日本と各統治時代の建築物が保存されており、様々な国による統治が繰り返されてきた台湾の歴史が垣間見られます。
東側に建つ清朝英国領事館は、1891年に建てられた美しいコロニアル建築。客間・書斎・食堂など当時の暮らしぶりが再現されているほか、モザイクタイルや回廊などエレガントな装飾にも目が奪われます。
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夕方:河畔のカフェで夕日観賞
⑧「水灣餐廳 榕堤店」
「水灣餐廳 榕堤店」は、淡水河の夕日を最高のロケーションで観賞できるカフェレストラン。店前の大きなマングローブの樹が目印です。
黄昏時ともなると、その素晴らしい景色を求めて多くの人が来店します。
南国の雰囲気あふれる店内は、テラス席を含め、かなり広い空間なのでパーソナルスペースもしっかり確保。
メニューは、ドリンクやスイーツなどのカフェメニューから、ディナーとしても満足できるお食事まで多彩に揃っています。